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- 矯正歯科治療に関しての諸注意事項(リスクおよび副作用)
矯正歯科治療をする目的
患者様の抱える口腔領域の悩みや辛さは人それぞれで多様です。
そのような中で患者様ごとの骨格、歯や歯を支える骨の状況、顎の関節、成長パターンなどにより注意すべき事や治療の限界もあります。
当院では、それらを考慮し、ご理解を得た上で患者様のQOLが可能な限り向上するような歯並びを目指していきます(年単位の治療のため患者様のお約束通りの定期通院と歯磨き等のご協力のもとに安定した治療が成り立ちます。ご協力がないと予想通りに治療が進まず思い通りの結果が得られないことがあります)
矯正歯科治療に関して各段階の諸注意事項
予防的な矯正治療の段階
予防的な矯正として使用する場合の、取り外しのできる夜間のみ使用の装置などは、目立たない反面、使用しないと治療作用は期待できません。
セメントで歯に接着する固定式の装置は作用が持続的ですが、繰り返し舌や指で力を加えたり、硬いものをその部で咬むと破損し、別のタイプの装置に変更する必要が出ることがあります。
指しゃぶりやいつも口を開けて息をしたり、舌を出す癖を直していかないと不正咬合の原因となり治療作用は得られにくくなります。
本格的な矯正治療の段階
ブラケットにワイヤーをかけた本格的な矯正治療は歯磨きが重要です。治療は3年ほどかかります。定期的な通院のお約束を守っていただくことは、治療のために不可欠です。口腔内がきれいに歯磨きできないと虫歯にかかり歯がとけてしまったり、歯肉が赤く腫れ上がり出血したりします。虫歯や歯周病になってしまうと矯正歯科治療を中断し虫歯や歯周病の治療をしなければいけません。そうなると当然治療期間は長くかかってしまいます。このように歯磨きはとても重要です。
歯磨きをはじめとして身体的、心理的な問題、外傷などでお口の中の健康状態が危ぶまれ、これ以上矯正治療を長く続けると歯の寿命に係ると判断された場合には、説明の上同意をいただき、やむなく最初に目標とした治療ゴールを少し下げて終了しなくてはならなくなる場合があります。
また、全ての人に起こることではありませんが、状況によりクラック、歯肉退縮、歯根吸収、歯根露出、骨隆起、顎関節症などが起こることもあります。
矯正歯科装置をはずしてから保定装置をつけていませんと後戻りが起こります。保定装置をつけていませんと治療結果が安定しませんので充分気を付けてください。
また、反対咬合の傾向がある場合は、残余成長により後戻りに似た状況がみられる場合もあります。親知らずも放置しておくと後戻りの原因になります。
保険でできる矯正治療の中に顎切り手術を伴う外科矯正治療がありますが、手術までの術前矯正、手術、手術後の術後矯正と時間がかかります。手術前に必ず、手術に対する本人(またはご本人と保護者)の同意書が必要となります。
また、歯の欠損がある場合や歯を支える骨の状況により、必ずしも歯の隙間を閉じられない場合もあり欠損部のためにインプラント治療や修復治療が必要となることがあります。多数歯欠損(6歯以上)の場合、矯正治療は保険適用となりましたが、欠損部の修復はインプラントなど保険がきかない自費診療も必要となることを考慮しておいてください。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感や痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。